2025/01/20
▼老人と雪
なんて書くとヘミングウェイの「老人と海」みたいだけれど、もちろんそれとは何の関係もない。
ここ、北海道の岩見沢市には冬になると雪が降る。それも尋常ではないほど降る。除雪は老人にとって凄く大変だ。息も切れるし足も腰も痛くなる。でも一応老人(75だから立派な老人)である私は除雪をしながら、この雪ならスキーをすれば楽しいだろうな、などと考えている。
前の晩にいい感じ(パウダー)の雪が、ある程度積もったりすると、手早く除雪を済ませ、スキーを車に積み込み出かけることになる。
スキーが好きなのかと聞かれれば、Yes、と答えるけれど、静かな雪景色に囲まれてカップラーメンをすするのも好きだ。要するに真っ白な雪の環境の中でスキーも含めて戯れるのが好きなんだと思う。だからあまり長い距離でなければシールを付けて黙々と登るのも嫌いではない。
でもやはり何といっても、深いパウダーをスキーで滑るときの浮遊感は何事にも増して楽しい。たとえその距離が短くても。
残念ながら、もう体力的には、本格的な山行は無理だと思うけれど、近場のローカルスキー場の片隅でバックカントリーの真似事くらいはまだできている。
最近3回のスキー遊びのビデオを1本にまとめて、BGMを変更しました。
下記のリンクからご覧ください。
2024/11/16
▼早朝の絵画
天気がいいので樹木に残った枯葉を撮りに出かけた。でもそこにあったのは何分後かには儚く消えてしまう自然の絵画だった。
見る見るうちに絵画が消えていく。
いつも通っている場所でも時として、とんでもないものに遭遇することがある。
カメラをしまった頃には、すでに何もなくなっていた。さらば一瞬の絵画よ。
2024/11/05
▼なんだかしっくりこない。
今更ながらコロナにかかってしまった。症状そのものは1週間もしたら収まったのだがその後がいけない。原因不明の」吐き気と食欲不振が続き体重が3キロ減った。結果的には内科的なものではなく、心療内科へ通って症状は治まったが、未だに平衡感覚が今ひとつしっくりこない。コロナ後遺症には様々な種類があり、私の場合はコロナ鬱の一種らしい。私が鬱?という感じだけれど世の中何が起きるかわからない。
最近は写真を撮る気も出てきたし、物欲が刺激されて買い物にも出かけるようになってきた。青空が出れば気分もいい。
調子が良くない間に読んだ本は「未踏峰」笹本稜平著
いわゆる山岳小説だが、いろんな意味で障害を持つ3人が困難を乗り越えて未踏峰のヒマラヤに登頂する物語である。
自分が鬱状態だったこともあり次のような文章に励まされた次第です。
P297 いまここにある人生のなかに、ただ生きるという単純極まりない時間の中に、自らを燃焼させうる喜びを見出さない限り、人生はただの消耗品だ。登山という行為はそんな真実を露わにする。人生はただ生きるだけですばらしい。
P304 幸福は他人から与えられるものじゃない。誰かから盗み取れるものでものでもない。自分の心のなかにもともと火種があるんだよ。幸福になれるかなれないかは、それを自分で燃え立たせられるかどうかで決まるんだ。
P314 わかる気がする。人が生きている一瞬一瞬の本当の意味は、たぶん言葉では言い表せないものなんだよ。それは余計な言葉や観念が消えた心にしか聞こえないかすかな声なんだ。それが聴こえる場所なんだよ、ヒマヤラは
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2024/07/20
▼疲れた時には
真夜中に、寝返りをうったら突然景色がぐるぐる回り時始めた。立ち上がることもできないのでじっとしていると収まる。しかし、頭を特定の位置に置くとまためまいが始まる。すこぶる塩梅が悪い。
当初は脳の病気ではないかと思ったが、結果は「良性発作性頭位めまい症」という病気でした。耳の奥にある三半規管に耳石が入り込み動き回ることでめまいが起こるのだそうです。めまいの原因としては割とメジャーな病気のようです。投薬とリハビリで直りそうです。毎日わざとめまいが起きるような運動をして三半規管から石を出してあげると完治するとのこと。
原因が判明して一安心だけれど、めまいの激しさからくる精神的ダメージはかなり大きくてかなり落ち込みました。
こんな時にはこの音楽が深い沼に沈み込んだ心を優しくひろいあげてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=a9RnH9YQ5-w&list=PLPdaVST7YX53PMx8Rj9x49cAN8_v-4vPV
The Melody At Night, With You - Keith Jallett
今の状況ではイヤホンを使う気にならず、スピーカーで静かに流しています。この音楽があってよかった、とつくづく実感する。
自転車も車の運転もしばらく禁止です。トホホ
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2024/06/24
▼パンの焼ける匂い
「パンの焼ける匂いは、これ以上ないほどの幸せの匂いだった。」
昨夜のカレー、明日のパン 木皿泉 という小説の中に登場する、真夜中のパン屋さんでの一場面。
小説(物語)にどれだけ没入できるかは、どれだけ共感できる言葉があるかだと思う。木皿泉の作品は共感できる、我がものと実感できる言葉が満載だ。もう一つの小説、「さざなみのよる」もそうなのだ。共感できる言葉を書き出そうとしたら、どれもこれもという感じなので切りがないほどだ。
パンを生地から作って焼いているときの匂いを表すこれ以上の言葉を私は知らない。
この感覚は、村上春樹の「ポートレイト・イン・ジャズ」を読んだときと同じだ。ジャズという音楽の素晴らしさを言葉で表現するならば、まさにこれしかないという言葉なのだ。
匂いであったり、音であったり、目に見えない感動が、唯一無二の言葉に変換され、それを読むときにはまた新たな感動を生むことになる。
まさしく、パンの焼ける匂いは幸せの匂いに他ならない。性懲りもなく、時間をかけて手作りのパンを焼くのは、この幸せの匂いを嗅ぐためなのかも知れない。
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2024/06/09
▼ミミズの行進
霧雨の朝、サンダルを履いてゴミステーションへ向かう途中、ふと足元を見ると大きなピンクのミミズが濡れた黒いアスファルトをぬめぬめと這っている。危うく踏みそうになるが何とか回避してもう一歩踏み出すと、そこにもミミズが這っている。改めて付近を見ると同じような大きさのミミズが10匹くらい同じ方向を目指しているではないか。これだけの数のミミズが大きさが同じで同じ方向を目指している。これはかなり気持ち悪い。わけが分からないから不気味でもある。なんで?
ニセアカシアの花が満開になったので、香りを浴びに自転車で出かけた。すごくいい香りだったけれど、風が強くて、いくらペタルを踏んでも進まない。こんな日は無理をしないで帰ろう。
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2024/05/21
▼O君とビートルズ
同級生のO君とメールのやりとりをしていたら、O君関連でいろんなことを思い出した。情景と匂いまでありありと。
一番最初に思い出したのはビートルズのLPレコードジャケット。ウィズ・ザ・ビートルズ、あの白黒の写真のやつだ。オール・マイ・ラヴィングなどが入っている。
O君はビートルズのファンでLPなどをいち早く手に入れていた。レコードをかける前に眺めるジャケットは観ているだけで音が聴こえてくるような気がしたものだ。
次は、どういうわけか、たらのカッチカチにかたい干物を金槌で叩きながらマヨネーズをつけて食べたこと。今食べたら歯がもたない。あんな硬いものよく食べたもんだ。
彼の家の近くには鉄道の線路もあった。走っていたのはもちろん蒸気機関車。
極めつけはロケットみたいなものを作り、火薬を詰めて、畑で発射実験をしたこと。火薬は勢い良く燃えて音も光も凄かったけど結局飛ぶことはなく、あたりを焦がしただけだった。はた迷惑な話だ。ワクワク感は最高だったけど。
うーん、ビートルズのレコードジャケット、タラの干物、蒸気機関車、火薬の燃える匂い。なんて素敵なんだ!
午後になり雨も上がり晴れてきたので、いつもの散歩。とっても寒いけど、コントラストの強い緑が広がっていました。今日はパットメセニーを聴きながら写真を撮りました。
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2024/05/11
▼何を言ってるかわからない。
ドラマを観ていて、セリフがはっきり聞き取れない。ミステリー関係だと大事な場面でこうなると、すごくモヤモヤする。
耳が遠くなったのかもしれないので、録画なら大きな音量で聞き返すがそれでもわからない。単に音量だけの問題ではないようだ。
この数年こういう状況がよく起きるようになった。原因はいくつか考えられるけど、まさか自分の思考が時代に合わなくなってきたので、そのフレーズを想像しづらくなっていて聞き取れない、なんてことはないよね。
自己弁護するわけじゃないけど、最近のドラマはセリフを明瞭に発音するのではなく、つぶやくように小声で言っていることが多いような気がする。こうなると演出の問題なんだろうか?
漫才やバラエティーだと、早口過ぎて聞き取れないことも多い。音楽の歌詞もやたら早くて聞き取れない。やっぱり自分は時代に取り残されているんだろうか?
空耳アワーじゃないけど、一度変に聞こえるとそれ以外には聞こえないという、困った現象も起きる。
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2024/05/08
▼音楽はタイムマシン
ベンチャーズ パイプ・ライン
ビートルズ アンド・アイ・ラブ・ハー
ビートルズ イン・マイ・ライフ
エリックドルフィー ウォーム・カント
エリックドルフィー アローン・トゲザー
エリックドルフィー ユー・ドント・ノウ・ワット・ラヴ・イズ
エリッククラプトン ティアーズ・イン・ヘブン
スタン・ゲッツ & ケニーバロン ファース・トソング
キャノンボールアドレイ&マイルス・デイヴィス オータム・リーブス
バドパウエル ブルース・イン・ザ・クロゼット
ブッカーリトル マン・オブ・ワーズ
ビゼー 真珠採り
なんと無節操な選択だろう。でも、私にとっては無条件にその場所へ移行できる特別なタイムマシンなのだ。それぞれ行きつく場所と時間は少しづつ違う。これらは、あくまで私個人のタイムマシンだ。仕組みはよくわからないけれど、誰もが固有のタイムマシンを持っているはずだ。よろしければ、あなたのタイムマシンを教えてください。
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2024/05/02
▼頼むから静かにしてくれ
ローカルスキー場に垂れ流しにされる音楽。小規模なスキー場だから普通の住宅も近くにある。自宅にいて朝から晩まであんな音楽が聴こえていたらいやだなぁ。近くの住民から苦情とかこないのかなぁ。つい余計なことを考えてしまう。
あの音楽はだれがどういう基準で選曲しているんだろう。まあ、少なくともおっさんじゃないと思うけど。いずれにしてもスキー場に音楽は必要がないと思う。滑っているときはだれも音楽を必要としないだろう。リフトに乗っているときは暇だから音楽を聴いてください、ということなら大きなお世話だ。風の歌を聴け、ではないけれど、雪の音を聴いて欲しい。静かに。
ほとんどの桜は散ってしまったけれど、ここにはまだ春が残っていました。